むすめぢごく 愛がどこにもない
すごく見るのが嫌だったけど「火垂るの墓」を観ることにした。
ああいやだいやだ観たくないと思いながら(じゃあやめればいいのに…)再生ボタンを押して、
で、開始2分くらいで泣けてきて、もう何度も観ているわかりきったストーリーが進むにつれて苦しくなり、
苦しすぎてゲロ吐きそうになったので途中でやめた。
3分の1も観られなかった。
子供の頃は、ひたすら清太と節子がかわいそうだった。それだけで観ていた。
あの親戚の西宮のおばさんが悪い、戦争が悪い、清太と節子の二人に冷たい全てが悪い。
それで私は心の均衡を保ち、最後まで観ることが出来ていた。
大人になった今の私は、あの一番の悪者、親戚の西宮のおばさんは悪いわけではないということに気付いてしまった。
あの時代は、ああなるしかないのだ。
食料も物資もない時代に、子供二人を養っていくっていうのはとてもしんどいことだったのだ。
おばさんには、余裕がなかった。
戦争が始まる前は、清太と節子を温かく迎えてくれる、面倒見のいいおばさんだったのではないか。
そしてほかの大人たちも、親を亡くした子供二人をかまってやれるほどの余裕は、全くなかったのだろう。
戦争が悪い、っていうのも、どうも違うような気がした。
「そういう時代だったんだ」というどうしようもない揺るぎない事実を突き付けられているだけのような気がした。
私は「時代は選択できない」という言葉を思い出した。
以前、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で宮崎駿が特集されていた。
番組の中で宮崎駿は、映画「風立ちぬ」を制作していた。
「風立ちぬ」は戦争を始めんとする時代の中で、戦闘機を作る堀越二郎の映画だ。
宮崎駿は、「戦争の道具を作る人の映画を作る」ということに向き合っていた。
その番組内で、宮崎駿は「時代は選択できない」と語っていた。
私はその後に続く「時代の歪みの中で夢は変形され苦悩は解決されずに生きねばならない」
という言葉を覚えていたくてメモっておいたのだけど
「時代は選択できない」っていうの、これ、私の「火垂るの墓を見た感想」にドンピシャリだったっていうか
うまくいえないけど、私は「火垂るの墓」を見ていてそれを思い出して、
やっぱりどうしようもなくなり、私が求めている救いは全くどこにもなくて、
ただ、ふたりの兄妹がこうして死んでいったよ、という事実のみを見させられているような気がして
ゲロ吐きそうになった、と。
頭上すれすれに感じるほど低く飛んだ敵方の飛行機、
それから落とされる焼夷弾、燃える町、燃える人、包帯ぐるぐる巻きになって死んでいったお母さん。
そういう時代だった、誰も悪くなかった、人が死んで当たり前だった、殺して当たり前だった。
そういう時代があった。それだけです。
しかし…一番観ていられない原因、それは節子が娘に見えることだった。
丸い頬やでかい頭、ぷくぷくした短い手足、白い肌、パッツン前髪などが娘とダブる。
「兄ちゃんおしっこ」「お母ちゃんとこ行きたい」「お母ちゃんまだキイキ悪いの?」
…駄目だ、観ていられない。
こんなんだったら一生火垂るの墓見られん…
育児日記 ブログランキングへ
ももん
私はあの映画は映画館で観て今後二度と観ない、と決めた映画です。
理由はとり子さんと同じで「救いがない」から。
なんせ映画公開時に観ただけで作品の詳細は覚えていません(まだ小学生でした)
確かにすごい反戦映画かもしれませんね。
でも正直フィクションとしては(原作者の実体験が元になってるとはいえ)良い作品と思えません。
私がフィクションに求めるのは簡単にいえばその「救い」だったり「希望」なので…
娘を持ってなお無理になりました。
幼い兄妹を残して死ぬ無念を思うと母としてやりきれず、命を儚く散らす節子の全てが錐のように自分を貫く心地がします。
一回の視聴でこれだけ刻まれているんだから駄作とはいえないんでしょうね。
ただの好き嫌いなんで流してくださいね。
しかしこの映画観に行った目的は同時上映の「となりのトトロ」だったんですよねー
親に連れられて最高に素敵な結末に、感動に打ちふるえていた私に、そのあとのあの映画は、帰りに寄ったうどん屋のうどんが喉が通らなくなるほどのバッドコンディションにしてくれました(笑)
あの抱き合わせは無いわー
と今も不満です。
強制視聴でしたからねー
02
03
18:01
とり子
あゆみさま、コメントありがとうございます。
節子を見た瞬間、私も心のダムが決壊しました。
で、この映画を見続けると節子が死ぬところを見ないといけない、という事実に耐えきれなくなり、
途中で挫折しました。
冷静さ、保てませんよね…
あの映画の子供の描写、すごいと思います。
声優さんの声とか…鼻にかかった感じの節子の声だけでもうだめです。
いやもうほんとに、わたしも同じで取り乱しまくりです。
こんなにつらい映画だとは…
02
03
22:57
とり子
ももんさま、コメントありがとうございます。
映画館で見たんですか!!!!
伝説のトトロの後の絶望を味わわれたんですね…
うどん、食べられないですよ、そりゃ…
二度と見ないと決めた、とおっしゃられているのがわかります。
私も、もう2度と見れないかもしれません。
それほどのダメージでした。
ストーリーを追うのが辛く、一つ一つのエピソードが絶望に満ちている気がして、
もうだめです。
救いなんかどこにもなく、戦争はだめだとか、この犠牲のもとに今の私たちがあるとか、
そんなメッセージなんかもない、絶望映画でした。
今まで大丈夫だったのに、今回こんなに絶望したのは、やはり娘の存在が大きいのでしょうね…
02
03
23:04
この記事のトラックバックURL
http://musumejigoku.blog.fc2.com/tb.php/664-c92b17de
あゆみ
そうなんです。娘とダブるんです!
あの頬とかチュンとした顔とか、もうもう…(TT)
たらいをかぶっているあの静止画だけで、心のダムは決壊です。
大人になって変化した視点で観てみたいのですが、前回挑戦したときは
開始すぐから冷静さがまったく保てず、ほんと苦しくて過呼吸起こしそうで
チャンネルかえました。
母性というやつがすごいのか、それをあんなに盛大に刺激する子供の描写が
すごいのか…
なんにしろ節子のこと考えただけでギュワーッとなります。
あぁー
取り乱し、乱文失礼しました!
02
03
17:45